【映画をもっと楽しむために】映像に深みがでる「ディープフォーカス (Deep Focus)」とは?

おともコラム

映画を観る際、すべてのディテールが鮮明に見えると、その世界に引き込まれる感覚が強まります。今回は、映画撮影技法の一つ「ディープフォーカス」について、その効果と魅力を解説します。

ディープフォーカスとは?

ディープフォーカスは、画面全体にわたって手前から奥まで全てが鮮明に見える撮影技術です。通常、カメラのフォーカスは特定の距離に固定されますが、ディープフォーカスでは、手前の被写体から遠くの背景まで全てがシャープに見えるように撮影されます。

ディープフォーカスの魅力

ディープフォーカスの最大の魅力は、その視覚的な深さです。この技術を使用することで、観客はシーンの全体像を一度に把握することができます。特に、複雑なシーンや複数のキャラクターが同時に登場する場面では、観客に対する情報提供がスムーズに行われます。

また、ディープフォーカスは物語のテーマやメッセージを強調するためにも効果的です。背景と前景の両方に意味のある要素を配置することで、観客はより深くシーンを理解することができます。

ディープフォーカスの有名な例

映画史に残るディープフォーカスの名場面といえば、オーソン・ウェルズ監督の『市民ケーン』が挙げられます。この映画では、ケーンの幼少期のシーンで、窓の外の景色から室内の大人たちまで全てが鮮明に見えるショットが使われています。このシーンは、ケーンの過去と現在を同時に描き出す効果を持っています。

Deep Focus – Citizen Kane

また、ウィリアム・ワイラー監督の『麗しのサブリナ』でも、ディープフォーカスが巧みに使われています。サブリナがダンスパーティーで自分の存在感を示すシーンでは、彼女と周囲の人々全てがシャープに映し出され、観客は彼女の心情と周囲の反応を一度に感じ取ることができます。

トキエス
トキエス

ディープフォーカスは、シーンに深みを持たせ、観客に豊かな視覚情報を提供するための強力な技術。次回映画を見る際には、ディープフォーカスに注目してみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました